タイミング解析ツール

T1

ADaC

Gliwa社のタイミング解析ツール T1は、自動車業界で数百もの量産プロジェクトに長年にわたり利用されているタイミング解析ツールで、複数ECUの連携などで複雑化する車載システムに対する様々なソフトウェアベースの検証を援助し、実機に組み込まれたソフトウェアに内在する問題の早期発見をはじめ、難解な課題の解決に貢献します。

T1の中心的なツールとなるT1.timingは、ソフトウェア開発段階の「実装・テストフェーズ」で使用され、PC上で動作するホストソフトウェア（T1-HOST-SW）と、ECUに組み込まれるターゲットソフトウェア（T1-TARGET-SW）で構成されます。

ターゲットソフトウェア（T1-TARGET-SW）は、タイミング解析ツールとしては世界で初めてISO 26262 ASIL-D認証を取得しており、車載システムの開発段階においても量産段階においても、RTOSに対する安全なインスツルメンテーションベースのタイミング解析と監視を可能にします。

特長

T1.timingは、車載ECUソフトウェアの複雑な問題をグラフィカルなGUIで容易に発見・検証でき、短時間で問題解決へ導くことができます。

  • 車載システム全体の動作検証

    • 実ECUを動作させながらシステム全体が設計通り動作しているか、タイミング検証が可能です。

  • ソフトウェアによる計測方式を採用

    • 専用のハードウェアやターゲットボードの改造は不要で、既存の通信インタフェースを使用可能なため、追加のコストなしで計測環境の構築が可能です。

  • 実機でのソフトウェア動作を視覚化

    • タイミングの問題を迅速に特定することが可能です。

  • ツールの信頼性

    • ISO 26262 ASIL-D 認証を取得しており、数百の量産プロジェクトで実績があります。

  • 低オーバーヘッド

    • CPU負荷の増加は、わずか0.2～0.4％程度です。

  • 柔軟な計測範囲

    • ソフトウェアタスクや、関数単位での計測が可能です。

  • テストシナリオの追加

    • 疑似的に負荷をあげた状態でのストレステストが可能です。

主な機能

T1.timingは、車載ECU開発の実装・テスト段階で、様々な用途に使用することができます。

  • タイミング測定（例: max., min., 平均実行時間）
  • ターゲット側のタイミング検証（監視）
  • 自動タイミングテスト
  • ISO 26262に基づく要求事項のカバレージ検査
  • AUTOSAR Timing BENEFITs（TIMEX）の実装
  • 厄介なタイミング問題でも迅速に検出・解決するタイミングデバッグ
  • ECUへの機能追加によるタイミングへの影響を実装前に検証するための空き時間調査
  • マルチコアプロジェクトにおけるデータフロー、イベントチェーン、同期効果の調査
  • ターゲットを止めないトレース機能によるマルチコアプロジェクトへの適用

有益なプラグイン

T1.timingは、モジュール形式で有益なプラグイン機能を備えており、ビルド時に容易に有効/無効にすることが可能です。

  • T1.scope（システム全体の視覚化）

    • ソフトウェア実動作の視覚化による容易なタイミング問題の原因特定が可能

  • T1.flex（ターゲット上での柔軟なオンザフライ計測）

    • ・柔軟なオンターゲットおよびオンザフライ計測が可能
    ・任意の関数やコード行での最小/最大/平均正味実行時間（CET）、差分時間（DT）、 CPU負荷の計測が可能

  • T1.cont（常時タイミング解析とタイミング監視）

    • タイミング測定と継続的な監視によるタイミング要件の確認が可能

  • T1.delay（スケーラブルな遅延ルーチン）

    • 疑似的な遅延の挿入による異常系の評価やストレステストが可能

  • T1.api（テスト自動化のためのAPI）

    • ・C/C++プログラミング言語からテスト自動化の制御が可能
    ・Webサイトからインタラクティブにコマンドの送信が可能

  • T1.diff（ソフトウェアのバージョン比較）

    • ソフトウェアの異なるバージョン間でのタイミング情報の比較が可能

  • T1.mod（メモリの読み書き）

    • 直感的なシンボルブラウザーによる特定データの容易な読み出しおよび書き込みが可能

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